ABSのアセトン処理とは
3Dプリンターで色々なものが造形できるようになってくると、突き当たる問題があります。
それは積層痕があって、どうしても見た目がチープになってしまうということです。
せっかくかっこいいデザインのものを造形したのだから、見た目も高級感のある仕上げにしたいですよね。
この問題を解決してくれるのがABSのアセトン処理です。
アセトンと呼ばれる液体に溶けるABSフィラメントの特性を利用して、積層痕を溶かして表面を切れていにする方法です。
ABSにしか使えないですが、効果はテキメンで表面がピカピカに仕上り、高級感のある仕上がりになります。

最近はABSフィラメントも十分にたくさんの種類が販売されており、扱いもそれほど難しくはないので大きなデメリットにはならないかと思います。
ただこのアセトン処理も長時間やればいいというわけではなく、あまりやりすぎると表面がどんどん溶けてしまい、細かなディテールが表現できなくなってしまいます。
なので今回は、積層痕を消しつつ、かつ、細かなディテールも表現できるような、最適時間を追求してみようと思います。
実験内容
今回アセトン処理の最適時間を調べるにあたり以下のものを用意しました。


こちらの容器にチェスのコマを入れて、処理時間ごと(0.5h,1h,1.5h,2h)に表面状態を観察することで、最適時間を追求しました。
結論! アセトン処理の最適時間は1h
アセトン処理の時間ごとに結果を観察した結果が↓になります。
アセトン処理時間”1h”が積層痕を消せてかつ細かいディテールも維持できているという結果になりました。

0.5hでは消えなかった裏側の積層痕も1hでは綺麗に消すことができました。


更なる探究
簡単に3Dプリンターの弱点である積層痕を消すことができるアセトン処理。
弱点はなさそうに見えますが、処理したい造形物が大きい場合、下部だけ処理できて上部は処理できないということがあります。
これはアセトンが空気より重いため下に溜まりやすいためです。
これを改善するために、アセトン処理のための専用ケースを作り、そのケースにファンをつけてケースないでアセトン蒸気を循環させて、造形物に満遍なく当てるという方法があります。
また時間があれば、そっちにも取り組んでみて、うまくいけば紹介させていただきます。
それでは!